ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」
第五部 福島ホテル&ゴルフリゾートビジネス 1997年〜1998年
2001/11/2 更新
カミナリが落ちた どうする 皆様、ゴルフをしていてカミナリが鳴ったら避難しますか、そのままプレーを続けますか? 実はキャディマスターの部屋にカミナリ探知機が設置されています。それは、カミナリが近いか遠いかをランプの点灯で知らせる機械です。 ランプは3つあり、遠いカミナリは1つ点灯、やや近づいている場合は2つ点灯、危険な状況になると3つ点灯する。 3つ点灯したら、ゴルフプレーを中断させるか、させないかの判断は総支配人だそうです。 ゴルフ場勤務の全くない私にとってこの判断は難しい。もし、プレーを中断させればコース上にいる200人が新幹線の時間を変更させなくてはいけない。もしくは、そのまま帰らねばならない。 1997年7月福島県に久々の豪雨があった。その時、私はキャディをしていた。14番ホールの休憩小屋にいたとき緊急の電話が入った。 「カミナリ探知機のランプが3つ付きました。どうしましょうか」と言われた。私は「どうすればいいか分からないのでキャディマスターに聞いてくれ」と言った。 キャディマスターは私にこう言った。「どうしますか、判断をお願いします」と。私は空を見上げて「プレー中止」を宣言した。 プレー中止の合図は電動キャディカートの電源を切ることによって、コース上のキャディに伝ええられる。「カミナリ警報です。皆様、避難小屋に入ってください」とキャディが叫ぶ。 中止勧告から30分経ってもカミナリの落ちる様子はなかった。お客様は不満な表情で素振りなどをして早くプレー再会を待っている。 私の避難している小屋に電話が入る。「お客様がプレー再開しろと騒いでいます。どうしますか」という催促である。私の本音は「わかりません」だが「もう少し待とう」と言った。 その直後にカミナリが光った。直後に「ドッドーン」とカミナリが落ちた。(ゴルフ場ではなかったが)そしてグァムのスコールのような豪雨が襲った。 ゴルフプレーどころではない。キャディマスター室に電話を入れる。「お客様全員を避難させる。全てのスタッフを動員して、コース上のお客様をクラブハウスに救助してください」 すべてのお客様を救助した後に、コース上にいるキャディとお客様のゴルフバックの避難が始まる。そして、最後に私が救助された。 このときの豪雨は新聞に載るほどすごかった。コース上ではいくつも陥没被害があった。 一向に収まらない豪雨でさすがにお客様はプレーを諦めた。しかし、フロントでの料金請求はプレー費の全額しなくてはならない。 当然のようにフロントではもめる。「なんで、プレーしていないのに全額払わなくてはいけないのか」など、もうパニック状態。加えて、宴会場が水没する非常事態になってしまった。 次の日、本社より当日のオペレーションに対し批判的なFAXが入った。命がけでお客様の安全を守った我々に対しての批判である。 さすがの私もプッツン切れた。
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この原稿は2001年作成
2006年再読